歴史深い町に鼓動を送るカフェ
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施工金額 | 2,700万円(税込) |
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物件種別 | その他 |
リノベーション形態 | その他 |
リノベーション内容 | 水まわり,居室・その他,その他 |
居住人数 | 25人 |
家族構成 | その他 |
築年数 | 12年 |
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エリア | 九州・沖縄 |
面積 | 74.90㎡ |
施工期間 | 4カ月 |
構造 | 鉄筋コンクリート造 |
間取り
Before事務所
After店舗
⼿掛けたリノベーション会社
⼿掛けたリノベーション会社
建設当初は駐車場、その後事務所へリノベして以来2度目のリノベとなる当スペースは、長方形のモルタルの空間に既製品の窓サッシや天井を始め、事務所色の強い内装だった。カフェとしての居心地を向上させつつビジネスやイベントなど多様な用途に応えるべく、ゾーニングを2つに分けた。入口付近は、白やグレーを基調にアーバンな印象。ニュートラルな空間とすることで、アートの展示やワークショップなど多方面に活用していくことを企図した。カウンターを抜け、奥に進むと床が二段上がり、天井が下がったクローズドな空間に。マホガニー調に着色したラワンウッドの壁面と杉板天井、赤の絨毯というクラシックさもあるインテリアに、突如として左官仕上げの巻き貝状の構造物が中心に構える。この構造物は、中は半個室となっており、また壁として周囲・互いの視線を切りながら空間を緩やかに繋ぐことで、どの席でも落ち着いて過ごせる環境を実現している。
桜島と錦江湾から程近く、近代の史跡や建築が数多く残るまち、鹿児島市は上町エリアに根差し、建築を営んできた当社。創業70周年の節目に全社員で対話を重ね共創したミッションは「建築と人の可能性を拓く」。地場では、建築費高騰によるプロジェクトの縮小や仕様の簡素化、歴史的建造物の取り壊しなど、短期的な経済合理性に基づく決断が多く、無機質な真四角の建物が生まれる一方、建築や場が持つ力が失われていく寂しさが漂う。コロナ禍の3年間、社内では複層オフィスであることも相まって、交流機会が減少しコミュニケーションロスが生じていた。3フロアに分かれていた事務所スペースをせめて2フロアにまとめようと、1F事務所を引き上げ、何か別の活用をする決断をした。新MVを体現する場として、建築の可能性を拓き、集い関わる人の可能性も拓こうと、出した解はカフェにリノベし、まちに開くことであった。社員の良質なワークスタイルを実現するマグネットスペース、お客様や協力業者、外部設計者との親睦の場、更に地域の方の憩いの場として、あらゆるステークホルダーに価値を提供できるしなやかさがカフェにはあり、そこに建築の力が加わればヒト・モノ・コトの可能性が拓かれ続ける渦が生まれると考えた。オープンして約1年、建築を志す学生からまちの主婦、作業服の職人、一服する営業マン、アーティストなど多様な人々が過ごし、日々何かが生まれる場になっている。