健康な建築

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施工金額 2,000万円(税込)
物件種別 マンション
リノベーション形態 中古を買ってリノベーション
リノベーション内容 家全体,水まわり,居室・その他,断熱改修
居住人数 3人
家族構成 ファミリー
築年数 55年
エリア 首都圏
面積 80.99㎡
施工期間 4ヶ月
構造 RC造

間取り

Before3LDK

After2LDK

高度経済成長期、都市の高密度化が加速していく中、北下り西向きの急斜面に計画された。壁柱が立ち並び、跳ね出し雁行したファサードは唯一無二の造形を呈し学会賞を受賞。西に桜並木、南に保存緑地の借景を望める恵まれた環境のため、最大限それを活かす計画とした。南北に45度振った軸線に沿って構造壁が住戸の中心を貫いていた。この壁の躯体を剥出し、床にライン照明を配することで軸線を視覚化、建築の理念を現し広がりを与える。黄味がかり寂びた躯体には下地材の木レンガが埋め込まれていた。等間隔の木片には時を刻んだ風合いがあり空間のアイコンとなる。その強度に負けぬよう新しい仕上げとその壁との調和には注意を払った。一方住居には浴室、トイレなどの隔離領域があり表の強度からより裏となりかねない。深緑のタイル、陽光色の塗装など、色で空間強度に対抗した。LDKから覗く空間は、発光するような桜色を選択しその先を連想させた。

1970年竣工の桜台コートビレジは建築家 内井昭蔵のマスターピースである。当時、内井は理想の建築を、”健康な建築”と表現した。曖昧な言葉だが、とても的を得た言葉だと思う。“健康”とは何か。広辞苑には、”身体に悪いところがなく心身がすこやかなこと”と記されている。ここで言う体とは建物の躯体であり、心とは生命力のある空間である。竣工から55年、社会は成熟し物と情報が溢れる時代。欲しいものが手に入りSNSで世界と繋がる。買う時代から取捨選択する時代に変わった。情報を欲張るあまり倍速で視聴、知りたくないネタバレをすることもある。現代は利便性を突き詰めて、息苦しくなった気もする。そして、感染症流行、天災、争い、予測不能で不確かな変化の時代に。健康とは何かと考えることは、何が幸福か考えることかもしれない。時代とともに豊かさも形を変えていくだろう。この建築をどう住み継いでいくか。原型から現型へアップデートする必要がある。断熱改修により暑くなりすぎた夏を乗り越え、照明、空調、浴室設備をスマホでコントロールできるスマートハウスに。間仕切り壁を撤去、長手に貫く躯体壁を剥出し、軸線を視覚化することで広がりを与えた。桜の借景に加え内外にガーデンを設え、自然との共生を目指した。何気なくテラスに出ると"綺麗な緑だね"と声を掛けられた。自然と人を結ぶことで自然を介して人と人が結びつく。健康な建築が垣間見えた。

⼿掛けたリノベーション会社

所在地 〒213-0001 神奈川県川崎市高津区溝口2-15-1
対応エリア 東京都・神奈川県
連絡先 044-829-3324

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