住宅環境は人の健康と密接に関係しています。快適に感じられる室内空間をつくるには気温、湿度、輻射、気流のバランスがとれていないといけません。しかし隙間が多く断熱施工に欠陥がある住宅は冬とても寒く、結露が生じやすいものになってしまいます。室内の寒さや温度差は不快なだけでなく脳卒中や心臓病などをひきおこします。特に脳卒中は寒くなればなるほど死亡率があがっていきます。
冬に家のなかで暖かいのは暖房がきいている居間だけという家も珍しくありません。そこから寒いトイレや洗面室などとの気温差は20度以上になる場合もあり、足の裏から凍えてしまいそうです。身体の弱い人や高齢者などはこの温度差で体に大きな負担がかかり(これをヒートショックと言います)病気の引き金となる可能性があります。
普段から血圧の高い人であれば急に寒さにあうことで血圧が200㎎を超えてしまい危険な状態になることもあります。こうした危険を防ぐためには家の断熱をしっかり行い、各所で大きな温度差がおきないようにすることが大切です。
全室が20~22度と温かく温度差が少ない室内環境を実現できれば、薄着で気軽にどの部屋にも行き来でき、家の中に閉じこもりがちな身体の弱い人や高齢者にとってはよい運動にもなり健康につながります。
冷たい壁や窓面からの冷輻射、隙間風のせいで室温が高くても暖かく感じられないことがあります。壁面や床面には適切な断熱材を施工することで、また窓ガラスはペアガラスやLOW-Eペアガラスなどを使用することで冷輻射を感じにくくできます。体感温度はおよそ「(壁や床の表面温度)+室温」÷2で求めることができます。室温だけでなく体感温度を適切に保つように心がけましょう。
4人家族の住宅では一日に約9.4Lもの水蒸気が発生します。そのうち人体からは約4Lの水蒸気が発生しています。おどろきですね。この水蒸気が低温の窓や壁で冷えて水に戻り結露するのです。夏の冷たい飲み物のコップの表面に水滴がつく原理と同じです。
結露があるところは湿度が高いためカビが生えやすくなります。カビが増えるとそれを栄養源としてダニも増殖しやすくなります。断熱性能を高め各所の温度差を少なくすることにより、また計画的に換気を行い絶対湿度の低い新鮮な外気と高湿度の汚れた室内の空気を入れ替えることで結露が発生しにくくなります。室内湿度は40%~50%程度に保つようにしましょう。
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