リノベーションコラム

検査済証のない中古住宅

2019.12.02
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検査済証とは


建築基準法で定められた「建築確認、中間検査、完了検査」の3つがすべて完了し、その建物が法律の基準に適合していることが認められたときに交付される書類である。こういった建築過程の検査は、建築物の安全性等の確保を目的とする制度で、住宅など一定の建物を建築しようとする場合は、この検査が義務付けられる。
検査済証がないということは、建築された当時、その建物が法律の基準に適合していたかどうかが分からないということなので、結果売買がしにくかったり、建物を改修する際に不便だったりすることがある。この検査済証がない物件があることを知って欲しい。

築年数が古ければ古いほど検査済証がない傾向がある


検査済証の取得率は、20年前の1998年においては38%とも公表されている。実に半分は検査済証がない物件となることになり、今でこそ約9割の建物で検査済証が取得されているが、年によって取得率は大きく変わる。
また、傾向として築年数の他にも、エリアによっても取得率は変わり、特に関西エリアでは検査済証がない物件の割合が高くなっている。加えてお伝えしたいのは、「ない」と「紛失」は違うことも知って欲しい。 検査済証が手元になくても、それが単に「紛失したため」であれば特に問題はない。市区町村役所の建築指導課で「台帳記載事項証明書」を確認すると、検査済証の交付記録が分かる。多くの場合は、この「台帳記載事項証明書」によって、検査済証の代わりとなり、しかし台帳記載事項証明書が無い場合は、完了検査を受けていないということになる。
この場合は、建築指導課に保管されている「建築計画概要書」で建築確認申請の内容が、現況と同じか確認する。今の現況の建物と同じ内容で建築計画が提出されていれば、違法建築ではない。

検査済証がない時の解決策


検査済証がない場合の救済策として、国土交通省が2014年にガイドラインを策定した。 正確には「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合調査のためのガイドライン」という名称で公開している。 このガイドラインによると、まずは建築当時の確認済証や設計図書などの竣工図書があればそれを利用し、調査を実施。 確認済証や設計図書などが残っていなければ、建築士が「復元図書」と呼ばれるものを作成することになる。
こうした書類を元にした現地調査を行い、最終的には報告書「建築基準法適合状況調査報告書」が作成される。この報告書は、改修工事や大規模リフォーム、リノベーションを行う際の確認申請に必要な書類として活用可能なので、検査済証の代用とできる。 なお、確認済証や設計図書が残っていない場合に作成する復元図書は、作成にはかなりの時間と費用がかかる。 違法建築物であることが判明した場合、まずは適法建築物となるような改修等も必要となる。
中古物件を購入する際は、この検査済証の有無はもちろん確認するべきであるし、また購入時以外の改修する際も改めてご自身の物件が検査済証のある物件なのかは、ぜひ確認して欲しい。

一般社団法人リノベーション協議会

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