パッシブハウス(Passive house)とは、ドイツのパッシブハウス研究所が規定する、建物の省エネ基準である。基準を満たす建物にはパッシブハウス認定証を発行している。
パッシブハウスは、暮らす人の健康・快適・経済性を維持しながら、エネルギーの持続可能性を両立した省エネ建築をつくるのが目的だ。特定の工法を指すのではなく、手法は一切問わず完成した建物がパッシブハウス基準を満たしていればパッシブハウス認定証が発行される。
現在、環境先進国ドイツを含むヨーロッパ以外でもパッシブハウスが増えてきており、暑い地域や寒い場所である南極など、世界中に存在する。パッシブハウス基準は、日本国内における様々な省エネ建築基準よりも厳しいものだが、日本でも認定住宅が増えている。
冬は窓からさしこむ太陽の熱で室内を温め、足りない部分を補う形で暖房設備を使うため、少しのエネルギーで暮らすことができる。風通しがよく、夏は日射遮蔽できるように窓の大きさや位置なども考えられて設計されている。温めたり冷やすために必要なエネルギーが少なく済むので、光熱費が安く経済性が高いとも言われている。パッシブハウスで暮らす人々は、圧倒的な快適さと健康、省エネ、経済性の高さに満足しているようだ。
リノベーションによるパッシブハウス基準(EnerPHit:エナフィット基準)を実現した賃貸住宅が富山県にある。2017年のリノベーション・オブ・ザ・イヤーで超高性能エコリノベ賞を受賞した物件である。
https://www.renovation.or.jp/app/oftheyear/2017/106
※エナフィット基準とは既存の建物をリノベーションによってパッシブハウス 改修基準をクリアし、その性能の高さをパッシブハウス研究所が認めたものである。
パッシブハウス は高い断熱性と気密性が求められる。さらに暮らしに必要な自然エネルギーのうち、太陽の光(熱など)を確保できるかがポイントだ。方角や、周りにある建物で日陰になるかどうかも関係してくるので、これから土地や中古住宅を購入する場合は、購入前に設計士や工務店にパッシブハウスを建てたい旨を伝え、可能かどうか確認する必要がある。
設計士や工務店など工事を依頼される側は、省エネ建築の高い知識が必要となる。認定を得るには工事前にPHPPという専用ソフトでシミュレーションを行い、そのシミュレーション結果通りに施工が正確に行われているかも問われる。
※今現在、日本国内では認定証を取得していない建物でパッシブハウスと呼ばれるものもある。商品名として「パッシブハウス」という言葉を使用している企業も存在するので、混乱してしまうだろう。ここで言うパッシブハウスとは、ドイツのパッシブハウス研究所が規定するパッシブハウス 基準の認定住宅のことである。認定住宅を希望する場合は、確認が必要だろう。
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