省エネ性能重視でリノベーションする場合、優先すべきは断熱・気密だ。断熱と気密を確保するのと同時に窓と玄関ドアを交換し、次に換気方法や暖冷房の計画。最後に省エネ家電や創エネを検討するのがエコハウスへの近道だ。ここでは換気、暖冷房、給湯について、どのような方法が一般的かをお伝えする。
中古住宅の多くは壁に換気口があり、そこが空気の出入り口となっている三種換気方法だが、エコハウスは熱交換換気が多い。換気方法を三種換気から熱交換換気に変更するのは、簡単ではない。熱交換換気は天井裏や1階と2階の間の空間、床下などにダクト(空気の通り道)を張り巡らさなければならず、天井や壁、床など壊す必要がある場合が多い。
▼ダクトの通り道
家全体の断熱・気密性能が低いと熱交換換気に変えても効果が低いので、まずは壁や天井、床の断熱工事と気密性を向上させることを優先し、同時に換気工事を行うと良い。
マンションの場合、躯体を壊せないので換気方法を変更することはできない。
灯油ストーブから省エネエアコンにしたり、電気ストーブから薪ストーブ、冷房は省エネエアコンにするなど、いろんな方法がある。どれが一番良いとは言えないが、燃料を変える場合(灯油からガス、電気から薪、ガスから電気などに変える場合など)は、大掛かりな工事になる。工事期間が長くなる可能性もあるので、暖房や冷房を必要とする寒い時期や暑い季節は避けた方が良いだろう。
床下にエアコンを設置し暖かい空気を床下から吹き出すようにしたり、ビルのように換気装置(一種換気装置)と組み合わせて家全体に暖かい空気を送る方法などもある。
古いエアコンを省エネタイプに交換するだけで、かなりの省エネ効果が見込める。しかし新たに省エネエアコンを設置する場合は、壁に穴をあけたり、別途電気配線が必要になる。室外機からエアコン本体までの配管の通り道が長くなると、その分工事も難しくなり基本工賃だけで終わらず追加費用がかかってしまうこともある。設置場所の状況や環境、建物の状況や環境、希望する内容によって変わるので、工事会社に現地を見てもらい見積りをとるのが基本だ。
室外機は家の外に置くので、そのスペースも必要となる。室外機は意外と音が出るので、隣の家の寝室の近くに置いてしまった場合、騒音で問題になる可能性がある。どうしても近づくならば、隣の家の人と話し合うというのも一つの手だ。
10年以上前の給湯器に比べ、最近の給湯器は効率が良くなっており、燃料代も安くなる場合が多い。
エコジョーズ、ヒートポンプ式エコキュート、灯油・ガスのボイラーなど、いろんな種類の給湯器があるが、どの給湯器を選んでも燃料が変わる場合は、配管工事から始めなければならず大掛かりな工事となる。工事中はお湯が使えなくなるので、寒い時期ではなく夏にするなど、交換時期も検討した方が良いだろう。ヒートポンプ式エコキュートは室外機も設置することになるので、エアコンと同じように騒音には注意が必要だ。
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