長年住んでいる家の使い勝手に不便を感じていませんか?昔の間取りで使いにくいこともありますし、建ててはみたがもっとこういう配置にすれば良かった、と感じることも意外に多いものです。そんな不満を解決するのが、動線を考慮したリノベーションです。今回はリノベーションを成功させるコツの1つ、動線計画について紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
動線とは、人が自然に動くときに通る経路の軌跡を、線で表したものです。例えば、家事の1つである洗濯の動線は、洗濯を始めるところから、クローゼットに洗濯物をしまうまで移動する線で表すことができます。お風呂場で服を脱ぐ→服を洗濯機に入れる→洗濯機から服を出し干す→服をとりこみアイロンをかける→仕上がった服をクローゼットに戻す、この流れが洗濯の一連の動線になります。
このように、料理、通勤や通学、来客の訪問など、さまざまな活動を動線で表すことができます。この動線は、家の間取りを考えるときの重要なポイントです。
動線を短くして無駄な動きをなくせば、機能性が高い便利な家をつくることができます。最小限の動きを実現する最適な動線を考えるためには、「料理」「洗濯」「通勤」など特定の目的を達成するまでに必要な一連の動作をすべて書き出し、無駄な動きはないか、不自然な動きはないかをチェックする必要があります。
使い勝手の良い家を目指し最適な動線を考えるときに特に重要となるのが、家事動線、生活動線、来客動線の3つです。
家事動線とは、炊事や洗濯、掃除など家事をするときの動線です。家事の中でも特に手間と時間がかかるのは料理と洗濯です。
料理の場合を書き出してみましょう。食材を購入する、仕分けして冷蔵庫や収納棚にしまう、料理に使う食材を出す、調理用具を出す、シンク・ガス台・電子レンジ・炊飯器などの間を移動しながら調理する、食器を出す、盛り付ける、食卓に運ぶ。食事の準備1つをとってもここまでたくさんの動きがあります。食事の後も、食器をシンクに戻す、食器を洗う・食洗機に入れる、洗い終えた食器を収納する、生ごみの処理をしてシンクを磨きあげる、ダイニングテーブルやダイニングの床を拭く、という一連の動きがあります。この一連の動作を線に描き出したとき、1番シンプルになる線が効率の良い家事動線です。
料理、洗濯、掃除など、家事の大半は繰り返したり行き来したりする動作で構成されていますから、できるだけ動線の距離を短くするのがポイントです。家事との付き合いは生きている間毎日続きます。効率の良い動線を取り入れて家事を楽にできれば、生活全体の質を上げる手助けにもなります。リノベーションの際には必ず家事動線を確認し、最適な動線を取り入れた計画を立てましょう。
生活動線とは、寝る、トイレに行く、洗顔する、風呂に入るなどプライベートな日常生活でとる行動の動線です。この動線は家族それぞれで異なり、年齢でも変化します。子どもなら成長するに従い行動範囲が広がり、生活のリズムも変わります。
また、長期的に考えると、いつか家族全体の生活動線も見直すべきときが来ます。将来、子どもが独立すれば子ども部屋の使い方も変化するでしょう。親世代も体力面の変化に伴い、寝室からトイレの距離を近くしたり階段を避けたりと望ましい動線も変わっていきます。20年後、30年後のリノベーションでも間取りの変更などを効率よく進められるように、将来的な生活動線の変化も想定しておきましょう。
来客動線とは訪問客の動線で、その動線からプライベート空間が見えないように配慮することが望まれます。寝室や洗濯前の衣類、脱衣場や浴室、雑然としたキッチン内部などはあまり見られたくないものですから、来客動線を生活動線と重ならないようにすることがポイントです。
来客動線を考えることは、人を招きやすい家づくりにもつながります。友人との楽しいひとときを過ごす空間と、ゆっくり落ち着ける空間を無理なく確保するために、来客動線にも注意を払いましょう。
リノベーションの計画を立てるときには、この3つの動線について計算して、家族がくつろげる生活のしやすい家づくりを目指したいものです。
家の動線を考える作業はそれなりに手間がかかりますし、判断が難しい部分も出てきます。まずは日頃の行動をメモに書き出して、いろいろなパターンを考えてみましょう。迷ったらリノベーション事業者に相談してみるのも良いでしょう。将来の生活まで想定して、最適な動線を取り入れた家づくりを実現し、快適な生活を手に入れましょう。
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