リノベーションの全体像や施工の流れを把握したら、次のステップは事業者選びです。ここが、リノベーションの成功を左右する最初の重要なポイントとなります。しかし、数ある中から自分たちの理想を実現してくれる事業者を選ぶのはとても難しいもの。そこで、その判断材料となるのが「見積もり」です。
リノベーションの相場を把握したり提案内容を確認したりするために、複数の事業者から見積書をもらって比較する「相見積もり」をする方が多くいるかと思います。しかし、基本的に相見積もりは「価格」を比べるために行うもの。施工範囲が限定的なため簡単に見積もりを出せる部分リフォームなら有効な判断材料になり得ますが、リノベーションでは相見積もりが「理想の実現」を妨げる障壁になるケースもあるのです。
家族構成やライフスタイル、趣味などを把握して全体のプランを作り上げるリノベーションでは、細かいヒアリングによってお客様の「本当のニーズ」をどこまで引き出せるかがポイントになります。そこで大事になるのが、お客様と担当者のコミュニケーション。しかし、そのコミュニケーションのスタートが「価格ありき」の相見積もりだと、お互いが信頼関係を築くのに苦労します。また、価格ありきだと「かけられる時間」が決まってしまうため、お客様のために時間をかけにくくなるというデメリットもあります。
見積もりではどうしても費用(予算)に目が行きがちですが、部分的なリフォームと異なるリノベーションでは、金額にとらわれ過ぎずにリノベーション事業者の提案力・施工力・対応力を見極めることが成功への近道となります。仮に同じ設計図、同じ設備、同じ金額の見積もりでも、事業者の施工管理能力や職人の技術力が異なれば、完成形はまったくの"別モノ"になるからです。実際に施工事例を見せてもらったり、その事業者がお客様とどういう付き合い方をしているかを打ち合わせの中で確認したりして、事業者の「力」を判断しましょう。
中にはできあがった図面、設計図、仕様書を持って工事だけ安い会社に依頼するという方もいますが、そういったやり方はたいてい失敗します。なぜなら、工事のみを請け負う会社はプランの背景や設計士・プランナーの本当の意図を理解できないからです。
最後に、見積書を確認する際のポイントをお伝えします。重要なのはどの作業、どの範囲までがその金額に含まれるのかをしっかり把握することです。
事業者が必要とする工事について書かれています。内容がイメージできない項目があれば質問しましょう。
材料や商品によって、価格が大きく変わることがあります。メーカー名は建材・塗料などの品番も確認をお忘れなく。
「一式」などと記載されている場合には、単価・数量・面積なども把握しておきましょう。大雑把な記載はトラブルのもとです。
見積書には有効期限があります。「発行日から1ヶ月以内」が一般的ですが、それよりも短い場合はどんな理由があるのか確認しましょう。
簡単に見積もりが出せる部分リフォームとは異なり、住む人の家族構成、ライフスタイル、趣味・嗜好などをふまえて最適な提案を必要とするリノベーションでは、必ずしも「相見積もりで価格を比較すればよい」というわけではありません。プランや見積もりを作成するまでに、どれだけお互いのことを理解し合えるか、事業者とお客様が信頼関係を築けるかが、満足度の高いリノベーションのため重要なのです。
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